(1) マンション管理士
平成13年8月に施行されたマンション管理適正化法によりマンション管理士資格が創設され、マンション管理士はマンション管理に関する相談に応じる者として求められた者です。

マンション管理士(マンション管理士適正化法第2条第5号)抜粋
第30条第1項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。

① マンション管理士の義務事項
ア、 秘密保持(第18条)
イ、 信用失墜行為の禁止(40条)
ウ、 5年ごとの講習の受講(41条)
② マンション管理士は名称独占資格といわれ、その名称を使用しない限り、誰でもマンション管理士と同じ業務(管理組合等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと)を行うことができる仕組みになっており、これゆえマンション管理適正化指針においては「マンション管理士等」と表現されてることになるが、マンション管理士等の中で法律上の義務を負っているのは、あくまでマンション管理士だけである。
③ 法律は、マンション管理士に対して「第三者=他人であること」を求めていませんが、当のマンション管理士として、その名称を用いた助言指導を行うに際しては、常に「第三者性」が求められていると心得るのが望ましいと考えています。
〔参考〕第三者性を有しないマンション管理士の例
ア、 そのマンションの区分所有者であるマンション管理士
(区分所有関係に拘束される限り第三者になり得ない)
イ、 そのマンションの管理委託先の社員等の地位のあるマンション管理士
(管理委託契約に拘束される限り第三者になり得ない)
ウ、 ②以外の者でそのマンションと利益が相反する立場で(業者として)関与中の状態にあるマンション管理士
(業務委託や請負等の契約に拘束される限り第三者になり得ない)
但し、第三者管理者になっているマンション管理士(対外的には当事者(管理
組合関係者)とならざるを得ないもの、)は、内部的には第三者性の発揮が求められていると考えられる。
④ マンション管理士の名称を用いて助言指導を行うに際しては、原則、マンション管理士賠償責任保険に加入している。
⑤ マンション管理士が対応し得る業務(法定化・定型化されているわけではありませんが、次のような業務が一般的に行われています)
ア、 相談業務
イ、 マンション管理組合の顧問業務(日常の業務運営のコンサル)
附帯業務(特定の事業運営コンサル)
ウ、 マンション管理規約等の見直しのコンサルタント業務
エ、 管理委託契約の見直しのコンサルタント業務
オ、 大規模修繕工事のコンサルタント業務
カ、 長期修繕計画の見直しのコンサルタント業務
キ、 第三者管理者又は、監査人の業務
ク、 公演・講義・執筆等の業務
ケ、 その他マンション管理士として行う事業活動等
(2) マンション管理士活用方策
マンション管理士の資格取得自体が管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等に対する支援業務により報酬を得ることに直ちに可能ならしめるものではなく、個々のマンション管理士が自らの能力を高め、管理組合の抱える諸問題を的確に解決するなど、さまざまな実績を積み上げ、相談者側の信頼を獲得していくことにより、初めて、マンション管理士としての業務は成り立つものであるとして、国交省住宅局が「マンション管理士活用方策検討委員会」は平成14年6月に報告書を発表したが、マンション管理士制度の定着は、今後のマンション管理の適正な推進に関する重要な課題として掲げられている。同報告書は、「将来的なマンション管理士のあり方について」次のように提言している。
マンション管理をめぐる最大の問題は、マンションの管理に係る問題が極めて複雑かつ多様であり、これらに適切に対応するためにはさまざまな専門化が必要となるのに対し、その主体である管理組合の構成員である区分所有者が、これら専門的知識を必ずしも充分に有していない場合が多いことにある。このため、マンション管理士制度の社会評価が確立し、広くその活用が進んだ今日においては、マンション管理士を管理組合の管理者又は管理組合の役員として活用する等マンション管理士が管理組合の運営により深く関与した形で、その運営を支援していくことが求められる。
当然のことながら、これらのニーズに応えることとなるマンション管理士についても、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等からの相談に的確に対応することができるよう、自ら能力を一層高めていくことが求められる。このため、国・地方公共団体等においては、時代と共に変化する管理組合のニーズを的確に把握することにより、マンション管理士の一層の資質向上のため必要となる情報の提供等の措置を講じていくことが今後とも重要である。
他方、マンションの分譲後、区分所有者の多数が入居し初回の管理組合の総会が開催され管理組合の管理者等が選任されるまでの間のマンション、又、いわゆるリゾートマンションや賃貸型マンションについては、多くの区分所有者が不在であることから、マンション管理業者が管理組合の管理者等とならざるを得ないケースが多い。本来、管理事務の受託者であるマンション管理業者がその委託者である管理組合の管理者等ともなることは必ずしも適切な姿とはいえないことから、これらの場合における管理事務受託のあり方の透明性を一層向上させていくためにも、当面は、これらの場合において、マンション管理士を管理組合の管理者として活用することも検討にあたいするものと思われる。
(3) 管理組合へのコンサルティング
分譲当初にデペロッパーの関連会社がマンション管理の受託を遂行し、契約更新時においても従前の契約がそのまま更新されるのが主流であった。こうした中、マンションにおける定住志向の高まりやマンション管理適正化法の施行等を背景に、管理意識が高まりつつある区分所有者、管理組合等において、管理の内容やコストに対する関心や、当該マンションの今後の管理のあり方に従前以上の関心の高まりがみられる。しかしながら、管理組合等は、管理に関する専門的知識等に欠けることが多く、管理会社と対等に向かい合うことができない状態にあることから、管理委託契約の内容や費用について管理組合等コンサルティングを行うビジネスが現れている。マンションストック613万戸を超えなお増加中であり、居住者の管理に対する意識も向上していくことが期待され、今後共マンション管理士など専門家的な知見を有する管理組合サポートビジネスのニーズは高まると考えられる。このような専門家が理事会の役員等としてマンション管理に参画してゆく傾向の高まりも予想される。
(4) 課題と今後の方向性
区分所有者の管理に対する意識が、まだまだ低い現状においては、「安いことが最善」といった管理委託費削減が目的化している事例もあるとの指摘もある。本来、管理費は、行われるサービスの内容との関係で評価されるべきであり、適正な管理のため、管理会社にどのようなサービスを求めるのか、その目的に照らし、過大・過小な管理サービスになっていないかという視点を持たず、管理費の削減のみを目的化することには問題も多い。このため、管理状況を評価できる客観的な評価指針の策定や、適正な修繕積立金や修繕の実施など良好な管理が行われているマンションかどうか簡単に区分所有者や購入予定者等にわかる仕組みづくりなどの検討が必要である。又、こうした仕組み等を支える専門性、信頼性の高い技術者の養成が重要であり、マンション管理士等の専門性をさらに高めていくことが求められる。又、管理組合が管理のあり方を検討する際には、それまでの修繕工事の内容等を把握することが前提となるが、こうした履歴情報を持たないマンションも存在している状態である。マンション管理組合サポートビジネスの活性化も含め、マンション管理の一層の適正化を図るためには、各管理組合の管理情報の情報登録・閲覧の仕組みづ
くりや基盤となるシステム整備等が行政、管理組合等の関係者により制度化されることが望まれる。