(1) 諸問題の背景
マンション管理をめぐる問題は、建物の構造・規模等に関する特性に起因するものに加え、区分所有という所有形態と共同住宅という居住方式とによる権利・利用関係の複雑さがその原因となるケースが多い。
① 居住方式の特性
1棟の建物に多数の区分所有者等が集合して居住する方式であり、共用部分のみならず専有部分に関してもその使用に関して規約に従う必要があるなど、戸建住宅とは異なった住まい方が要求される、しかし、わが国においては、現在のところ共同住宅での生活慣行が必ずしも充分確立され、成熟しているとはいえない。マンション管理規約等の居住レールその他のものが整備されないケースも存在する。
② 利用形態の特性
ア、 居住用マンションの賃貸化・空室化
マンションは、分譲当初は、もっぱら区分所有者自らの居住の用に供するためのものであっても年月の経過に伴い、専用部分の賃貸、事務所等への転用等利用形態の混在が進むことがある。マンション管理規約において、専有部分の用途を居住用に限っていても、賃貸化や空室化の進展は避けることはできず、管理組合活動の低下に繋がる場合が多い。
イ、 複合用途型マンション
又、その専有部分が住宅と店舗等から構成される複合型マンションでは、住宅所有者と店舗等所有者との間において、その利用形態の違いに基づく利害の対立が生じるケースもある。
ウ、 投資型(ワンルームマンション)及びリゾートマンション
賃貸を目的としたワンルームマンションの投資型マンションの場合は、法律上は区分所有建物であっても、実際の居住者のほとんど又はその全部が賃借人である場合が多く、多数の区分所有者が出席する集会の開催が事実上不可能であることから、管理組合の適切な運営が困難であり、その管理は、マンション管理業者任せであることが多い。リゾート型マンションについても、大半の区分所有者が平素は不在であることから、管理組合の適切な運営が困難であること
が多い。
(2) マンションの生活管理に関する課題や管理組合運営に関する課題
① マンションは共同住宅であるため、戸建て住宅と比較して区分所有者や居住者内の集団生活に伴う生活管理上の問題、すなわち住民の日常生活におけるマナーやマンション管理規約等(規約及び使用細則等)を定め、その遵守を見守って快適な暮らしを追求することが必要である。具体的な問題として駐車場使用やペット飼育に関するトラブル等があげられる。マンションの管理が難しいのは、区分所有法上管理者を選び、その者の責任と権限で管理業務が執行することになっているものの、実際は各住戸の区分所有権を持つ区分所有者の合議と多数決によつて、そのマンションの管理方針が定められることである。その結果、それぞれ意見が
異なる区分所有者がいても、管理組合は、それらの者と調整しながら執行していかなければならないわけである。又、区分所有建物の所有権が及ぶ専有部分とそれ以外の共用部分とに区別され、区分所有者は原則として区分所有者の全員又は一部の区分所有者で共有する共用部分をそれぞれの専有部分の面積に応じて管理費用を負担している。
② 管理組合の運営は、理事長、理事で構成する理事会が中心となって運営されるが、理事も1~2年交代制が多く、且つ順番制が多い、しかも近年賃貸化が進んでいることや区分所有者の高齢化のため理事のなり手がいないことで組合活動が停滞している小規模マンションも発生している。ともすれば、生活管理上のトラブルは、居住者個人のマナーだけにかかっているわけではなく、管理組合の居住者に対する粘り強い啓蒙活動によって未然に防ぐことができる。又、生活管理に関する問題として、近隣や地域社会との連携も必要不可欠である。
マンションの安全で快適な住環境を維持するには、マンションだけでは限界があり、その近隣や周辺地域全体の課題とされている防犯防災対策の立案等に積極的に参加したりすることで、町内会や自治会と情報交換をし、マンションが防災や情報の拠点として、周辺地域に貢献していくことが求められている。
(3) マンション管理の政策課題
① マンションの増加に伴い、マンションに関する法制度が整備されてきたことは前述のとおりですが、平成25年度マンション総合調査の示す個々のマンションの賃貸化や空室化などを踏まえたマンションの適正な管理、老朽化への対応など、マンション市場固有の課題に住宅政策が充分に応えていくことが必要である。
② 今後は、居住者間のコミュニティー意識の希薄化が見られる中で、マンションのスラム化問題等が生じないよう、ストックの資産価値の維持等を図ることが重要であり、管理組合の円滑な運営の確保、管理組合による適切な修繕等の推進、維持修繕に係る履歴情報等の活用による適正な市場評価の確立が求められる。
③ このため、マンション管理士制度の定着、管理組合による建物の維持修繕に係る履歴情報の適切な管理及び市場評価に資する客観的な情報開示の推進、管理組合、建替組合等の支援体制の整備、建替え支援制度の充実等に取り組むことが重要であると共に、マンションの賃貸化に伴い生じる恐れのある持家居住者と借家居住者のトラブル等も踏まえながら、賃貸化に対応することが重要である。