(1) わが国の既存住宅の流通シェアは14.7%(平成25年度)、住宅取引の7割~
9割(別紙資料2.ご参照)を既存住宅が占める欧米諸国に比べると住宅市場が異様なまでに新築住宅に依存していると言える。これは、わが国の住宅政策が終戦直後の深刻な住宅難の解消を起因とし、その後は住宅政策が景気対策の意味合いも強く帯び、常に新築住宅の供給・取得が推進されてきたという経緯がある。しかし、少子高齢化の人口構造や財政問題、環境問題、社会的価値観など、いわゆる社会の変化の前に、これまでのフロー重視の市場がもはや続けられないことが明らかになり、市場重視、ストック重視への政策転換がはかられた。
(2) マンションの管理の重要性や良質な住宅ストックの整備の意義については、「マンションの管理の適正化に関する指針」において、次のように示されている。すなわち、私有財産であるマンションも、地域のコミュニティー活動や市街地景観等の都市計画においても重要な意味を持つ。又、その耐用年数の長さから、長期に亙って適切な維持管理が行われれば、数世代に亙って居住できる資産でもあり、中古住宅流通市場が適正に機能することにより、多くの世代が安心して選択できる良質な住宅ストックとして活用することができる。
(3) 平成17年12月に国交省が策定した「マンション管理標準指針」は、マンションの適正な維持管理全般に亙って基本的な知識、対応方針等が平易にまとめられており、まさに管理のためのバイブルである。又、「マンションみらいネット(マンション履歴システム)」は、管理組合の活動状況、修繕積立金等の会計情報、長期修繕計画や修繕履歴に関する情報等、個別のマンションの管理に関する情報の登録・閲覧により、管理水準の向上に加え、管理状況の公開による流通市場の円滑化にも寄与することが期待される。
(4) 平成18年6月、人口減少や住宅ストックの量的充足といった環境変化を踏まえた住生活基本法が制定され、これまでの「造っては壊す」社会から「いいものを造ってきちんと手入れして長く大切に使う」いわゆるストック重視社会へと目指す方向の大きな転換が図られた。同計画においては、適正な管理等を通じ良質なストックを将来世代へ承継すること、そのために「マンションみらいネット」の普及を図ると共に、改修や建替え等により老朽化したマンションの再生を促進することが定められた。同計画は概ね5年ごとに見直することとされ、平成23年3月の閣議決定により、計画期間を新たに平成32年までの10年間とし、計画目標に係る指標の数値等を改めると共に、老朽マンション対策など、住宅ストックの管理・再生対策の推進に係る改訂等が行われた。
(5) 改訂後の計画では、既存マンションについて「25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を設定している分譲マンション管理組合の割合」を平成20年度の36.6%から平成32年度には70%(平成25年度は46.0%)とする指標が設定され、新規に分譲されるマンションについて「新築で30年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合」
を平成20年度の51%から平成32年度にはおおむね100%とする新たな指標が示されている。